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『ザ・マジックアワー』を見ました

売れない役者が殺し屋の身代わりをさせられるという、三谷幸喜監督作品第3弾『ザ・マジックアワー』を見ました。

キャバレーの支配人備後(妻夫木聡)はボス・天塩(西田敏行)の愛人(深津絵里)に手を出してしまった。そのことが原因で海に沈められそうになる備後だが、伝説の殺し屋『デラ富樫』を探し出せば命を助けるという取引に応じた。しかし、『デラ富樫』を見つけることの出来ないビンゴは、無名の俳優・村田大樹(佐藤浩一)を使って『デラ富樫』の身代わりを演じさせようとする…。

今回の作品でもオールスターキャスト&チョイ役にも豪華な役者人が登場するのは、人気脚本家として監督のおかげもあるでしょう。

今までの三谷作品と関係のありそうな子ネタもちりばめられており、三谷作品のファンの方にはかなり楽しめる作品ではないかと思います。

デラ富樫/村田大樹を演じる佐藤浩一の演技が『怪演』と呼ぶにふさわしい、『役者』らしい演技で、見ていて惹きつけられました。ここまでコメディチックな役を演じたのは今回が初めてではないかと思いますが、表情の切り替えや台詞回しなど、『うまい役者は何をやらせてもうまい』ということが感じられます。

また、同じ理由で西田敏行の演技もうまいと感じることが出来ました。

その他妻夫木聡や綾瀬はるか、小日向文世に伊吹吾郎ら新旧の役者たちもがんばっていたと思います。『僕の彼女はサイボーグ』のクァク監督と同じく、三谷監督も綾瀬はるかをべた褒めしていますが、かわいいだけでなくそれなりに演技が出来る点が、評価されているのでしょう。

そして、ギャングの若頭・黒川を演じる寺島進が、完全にはまっている。この人の容貌と最近のコミカルなCMイメージが、この役にぴったりと合っていて、この作品のこの役には彼で無ければならないと言い切りたいです。

さて、このように佐藤浩一初め役者たちが大いにがんばっているのは映像から感じられますが、肝心の作品については前作の『THE有頂天ホテル』ほど楽しめる作品とはなりませんでした。

そのひとつの原因は、各キャラクターの描きこみ不足。一例として伊吹吾郎演じる鹿間隆と綾瀬はるか演じる鹿間夏子は、おそらく親子ではないかと思いますが、劇中にそういったことを感じさせる表現は一切ありません。

これは一例ですが、各キャラクターにそういった背景等がないため、スクリーンで見ることがその人物のすべて。主要人物はもう少し掘り下げて描いてもらうと、作品を楽しめそうな気がしました。

その意味ではこの作品の笑いは、『8時だよ、全員集合』等の軽演劇の笑いに近いと感じます。場面で笑いにあわせたアイテムが配置され、それを脚本に従って利用することで笑いを取る。この作品を見ていて、kainが子供の頃に親しんだ舞台コントに近いと感じました。

舞台設定にしても、ノスタルジックなセットをわざわざ組んだにもかかわらず、それを台詞でネタにしてしまっては、自虐ネタといわざるを得ません。作品全編に映画全盛時代を盛り込みたいという監督の想いが、うまく作品に生きているようには感じませんでした。いろいろな映画にオマージュをささげたいのは分かりますが、2時間の中にあまりに詰め込みすぎではないでしょうか。

ただ、映画好きの人特に年配の映画ファンにとっては、楽しめるネタがいろいろ盛り込まれていることは嬉しいことだと思います。

前作もキャラが薄っぺらいと感じましたが、今作でも同様な結果に終わってしまったようです。

ただ、友達や知り合いと一緒に見に行って、楽しむにはもってこいの作品だと思いますので、数人のグループで気軽に鑑賞しに行くことをお勧めします。

PS.エンドロールの出し方に、故市川箟監督へのオマージュを感じますのでお見逃し無く。

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kain

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