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『ノーカントリー』を見ました

アカデミー賞で監督賞・助演男優賞・作品賞を獲得した、『ノーカントリー』を見ました。

テキサスの荒野でハンティングをしていたモス(ジョシュ・ブローリン)は、銃撃戦があった麻薬取引現場二遭遇する。取引の金200万ドルを見つけた彼は、それを持ち帰った。しかし、麻薬組織はその金を見つけ出すために、冷酷非情な殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)を差し向ける。一方、麻薬取引の現場を捜査した保安官のベル(トミー・リー・ジョーンズ)は。モスが事件に巻き込まれたことを知り、彼を保護するためモスを追いはじめる。

麻薬取引の金をめぐり、息詰まる追跡劇を見せてくれるのですが、それ以上に緊迫感を感じるのが、ハビエル・バルデム演じるアントン・シガーです。常に無表情、口数も少ない、自分のルールが絶対、という『ゴルゴ13』のような男です。スクリーンに登場したときから『不気味』という他に言葉がない役柄。

彼の圧倒的な演技が、作品の緊迫感をぴんと張り詰めたものにしています。冒頭の保安官を絞め殺すシーンでは、狂気のような表情を見せたかと思うと、次のシーンでは、まったく関係のない人を、表情を一切変えず、ためらいもなく殺してしまう。

金を回収するという目的のためには、一切手段を選ばず、危険も顧みない。それこそが彼のやり方である、ルールである。物語の中には、彼に対して、挑戦、説得、哀願と様々試みがされるが、彼は一切感じることなく、死体の山を作っていく。

そのすべてに無表情で通す事が、とにかく不気味であった。

ラストで彼に襲い掛かるアクシデントに対しても、絶望することも、怒ることもなく、応急処置をして消えていく。そんな彼の姿は人の心を超越している感がある。

そうした視点で見ると、彼を取り巻く人々は彼から生き延びようとすればするほど、自分の起こした行動を公開させられ、絶望に導かれてゆく。彼らにとってシガーの存在は、死に神といえる存在。不幸にして出会ってしまったことが、不幸だったということにつながる。

追われるモスを演じるのが、ベテランのジョシュ・ブローリン。彼の演技も迫力物で、初めは何とか逃げ延びようとしているが、やがては絶望を感じ始める。しかしあきらめずに生き延びようとしている姿は、狩りの獲物という役割を超え、死を超越しようともがく人の姿でした。

ただ、そんな彼の演技も、シガーの圧倒的な存在感にやや及ばなかったといえます。また皮肉なことは、彼を殺したのがシガーではないというところでしょう。

そしてもう一人、モスの妻、カーラ・ジーンを演じたケリー・マクドナルド。彼女が最後にシガーと対面するシーンは、派手ではないのですが、息を呑む迫力です。

神のごとく死を与える、悪魔の男シガー。今年度のアカデミー賞最優秀助演男優賞を獲得した、ハビエル・バルデムの怪演は、本当に見ごたえあるので、ぜひ劇場でご覧ください。

http://www.nocountry.jp/

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