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【心熱くする作品】『蒲田行進曲』

映画発祥の地としてあげられる場所の一つが東京の『蒲田』。

かつては撮影所があった蒲田も、今ではその面影はなくなっています。

そんな蒲田を舞台に、売れない大部屋役者・ヤスを描いた作品が『蒲田行進曲』。

日本アカデミー賞も取った名作です。

大部屋役者のヤスは、大スター銀四郎、通称・銀ちゃんの腰巾着として、撮影所で過ごす毎日。しかし、銀四郎が撮影中の新撰組作品では、見せ場の『階段落ち』が出来る役者が不在で、撮影が進まない。また、銀四郎は新しくできた恋人のために、今までつきあっていた小夏を、ヤスの嫁として結婚しろという。しかも小夏は妊娠していた。

 しかし、ヤスは小夏と結婚し、生まれてくる子供のために危険な役もこなし、一生懸命に働くのだった。初めはヤスを見下していた子夏もそんなヤスに少しずつ惹かれていく。

 そして、明日にでも子供が生まれると言うとき、銀四郎の映画の『階段落ち』が取りやめ、銀四郎の見せ場が全くなくなることになった。そんな銀四郎のために、ヤスは、自分が階段落ちをやると言い出す。

生まれてくる子供のために危険を冒すなと言う小夏。自分のために無理をさせてしまう銀四郎。そして、危険と知りつつも銀ちゃんのために挑戦するヤス。それぞれの思いが交差する夜、雪の降りしきる中、撮影が開始される。

この作品はつかこうへい原作の舞台が元になっており、映画作品としては松竹が製作しています。しかし、皮肉なことに劇中で語られる撮影所のシステムは『東映』の物です。

この『蒲田行進曲』と言えば平田満の『これが、これなモンで』と言う台詞や『銀ちゃん、かっこいい!』あるいは『ヤス、のぼってこいヤス!』という名台詞満載。

風間杜夫演じる銀ちゃんはちょっと垢抜けないスターだが、とにかく鼻につくタイプ。スターであることをひけらかし、周りの迷惑なんて関係ない。

一方、ヤスは田舎から上京して、とにかく役者になりたい、その思いだけで頑張る純朴な男。これがまさにはまっている。平田満の容姿などが脇役的で、本当の大部屋役者的なこともあり、きっと大部屋の役者はこうだろうなぁ、と思わせる。

小夏演じる松坂慶子。今ではすっかり貫禄が付いて母親役などが多くなったが、この当時はスタイルの良いセクシーな女優。この小夏とヤスの組み合わせは、まさに『月とすっぽん』。しかし、そのように組み合わせが、じわじわと涙を誘う。

とくに、階段落ちの撮影に行くヤスに

『今日だけは、帰ってきて欲しいんだなぁ…』と、悲しげにお願いする時、小夏のヤスに対する気持ちがひしひしと伝わってきます。どんなに危険でも『撮影に行くな』とは言えない。しかし、ヤスと小夏、そして生まれてくる子供との生活を失いたくはない、ここは泣ける場面の一つです。

そしてそうしても空ら無ければ行けない階段落ち。作品で見れば分かるのだが、この階段本当に高い、あり得ないほどの高さ。本職のスタントも断るというのにも、説得力がある。

そんな階段落ちのシーンだが、このシーンは傑作中の傑作。恐怖を紛らわすとするヤス。その気持ちを察しながら、ヤスに気合いを入れる銀四郎。お互いの友情を信じ、危険に臨もうとする心を、大げさではなく表現。階段から落ちた後、銀四郎の目とヤスの目で交わされる、男の友情。これを見て泣かないような人は、まずいないはずです!

派手な演出はなく、どちらかと言えばコメディ色が強い作品ですが、映画を愛する人々の物語、あるいは役者馬鹿一筋的な内容で、心の琴線をふるわせること間違いなしの名作です。

PS.kainはこの作品を見ると、日本一の斬られ役・福本清三さんを思い出します。

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kain

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