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『ふみ子の海』を見ました

実在の人物・粟津キヨをモデルに、盲目の少女・ふみ子の少女時代を描いた『ふみ子の海』を見ました。

昭和10年新潟の山村に住むふみ子は、目が見えないながらも明るく母親思いの子供でした。ある日盲学校の教師と知り合ったふみ子でしたが、貧しい家庭では学校に通うことは難しく、家計を助けるためにあんまの弟子となり、母の元を離れることになるのでした。

この作品で描く昭和10年から12年は大恐慌を受けた経済混乱のため、日本の政治も大混乱し軍部の対等を許す原因となった時代。特に凶作が続いたことで、地方の農村部の疲弊は激しく、農家の娘が売られるなど現代では考えられないようなこともあった時代です。ちなみに昭和11年には『2/26事件』が起きています。

そのことを頭に入れた上で、この作品を見ると表面的な動きとは裏腹に、ふみ子の人生にとってかけがえのない体験が、描かれていることが分かりました。時代背景を知らないと、ひどい伯父や按摩の師匠と感じるだけでしょう。

さて、主役のふみ子を演じる鈴木理子は、美少女というわけではありませんが、素朴な田舎の女の子という風情があります。盲目の少女という難しい役どころを上手に演じています。

彼女は場面場面に笑顔を見せるのですが、この表情がまた純朴でかわいらしく、かなりつらい内容の作品を暗くならずに見られる原因といえると思います。同じ様に、役としてのふみ子の常に希望を忘れない気持ちも、見る側にはどこかに希望を感じさせてくれます。

ふみ子を支える人達がそれぞれ良い役割を持っているのですが、流石の貫禄を見せてくれたのが高橋恵子。kainなどは『太陽にほえろ』の『しんこ』(当時は『関根恵子』でした)のイメージを思い出すのですが、今回は按摩の厳しい師匠を迫力ある演技力で演じています。

時代の背景を知っていればこそ、この師匠の愛情というものが理解できると思います。そして、そのことを知って見るからこそ、劇中の厳しいしつけにも、ただ厳しいわけではないという事を感じることができると思います。

作品を見ると、世の中こんな親切な人ばかりではない、という人もいるでしょう。しかし、この時代地方の現実はお互いに支え合いながら、生きているというのも現実だったと思います。その意味ではこの物語の話も極端に非現実的ではなかったのでしょう。

ハンデキャップを負った少女がどの様に生きるすべを学び、成長していくのかという、実話を元にした話だけに、つらい部分もありましたが、人間ドラマとして完成度は高い作品でした。

http://www.fumikonoumi.com/

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kain

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» ●映画「ふみ子の海」レビュー3/主に2007年12月以降 [映画「ふみ子の海」(原作/市川信夫・監督/近藤明男・主演/鈴木理子)応援ぶろぐ]
これ以前のレビューは こちら①  こちら② SKY SCOPE | ふみ子の海 年内いっぱいまでしか使用できない招待券が当たって観にいった「ふみ子の海」。 (中略) なんといっても、ふみ子を演じた鈴木理子ちゃんの演技がすばらしい! 全盲という役を見事に演... [続きを読む]

受信: 2008年1月26日 (土) 19時18分

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